「問診票の『性交経験の有無』にマルをつけるのが怖い」
僕は男だから、この怖さを自分の体で知っているわけじゃない。でも、これまで相談を受けてきた女性たちから何度も聞いてきた言葉だから、書かせてほしい。
健康診断で婦人科検診を受けることになった女性。生理痛がひどくて初めて婦人科に行こうとした大学生。きっかけはそれぞれだけど、みんな同じところで手が止まっていた。あの一行に、ペンを止める瞬間が怖い、と。
ネットで調べると「正直に書きましょう」「恥ずかしいことではありません」って書いてある。わかってる。でも、わかってても手が動かない。そういう人に読んでほしくて、この記事を書きました。
「なし」に丸をつける瞬間が怖い理由
婦人科の問診票で経験の有無を聞かれるのがつらいのは、医療行為に対する不安とは少し違う。もっと個人的な、心の奥にある怖さだと思う。
「なし」にマルをつけた瞬間、看護師さんに見られたらどう思われるだろう。先生に「あ、この人そうなんだ」って思われないか。待合室で他の患者さんの目が気になる。
こういう怖さって、他人から見たら些細なことかもしれない。でも、本人にとっては予約ボタンを押せなくなるくらい大きい。
わかってるんです、正直に書けばいいって。でも恥ずかしいものは恥ずかしくて…
うん、それでいい。恥ずかしいと思う気持ちを無理に消す必要はないから。
同じ壁にぶつかった人の話をさせてほしい
僕のところに相談してくれた方の中にも、婦人科の問診票が怖くて受診を先延ばしにしていた人が何人もいました。
ある社会人の方は、会社の健康診断で子宮頸がん検診を受けるように言われたけど、予約を3回キャンセルしたそうです。検査そのものが怖いわけじゃなかった。「経験がないことを、知らない人に知られる」のが耐えられなかったって話してくれた。
大学生の方もいました。生理痛がひどくて友達に「婦人科行きなよ」って言われたけど、問診票のことを知ってから怖くなって、ずっと市販薬でごまかしていたと。「友達はみんな普通に行ってるのに、自分だけ理由をつけて避けてた」って。
一人で抱えてる人が多いから表に出てこないだけで、同じ気持ちの人は少なくない。
医師にとっては「アレルギーありますか?」と同じ質問
ここからは、少しだけ事実の話をさせてください。
婦人科で経験の有無を聞くのは、あなたを評価するためじゃない。診察方法をあなたに合わせるために聞いているんです。
経験がない方には、通常の内診器具ではなく、おなかの上からの超音波(経腹エコー)で診てもらえます。不安なら、予約の電話やネット予約の備考欄で「性交経験がないので配慮してほしい」と事前に伝えておくと確実です。当日の診察室で改めて口頭で伝えてもいい。
でも看護師さんや先生に「この人、経験ないんだ」って思われるのが…
正直に言うと、医師も看護師も毎日何十人も診ている。「なし」の回答は日常的に見ていて、特別な反応をする人はまずいないよ。
20代前半で経験のない方が婦人科を受診するのは、実は珍しくない。日本の18〜24歳女性の約4人に1人は性交渉の経験がないという調査データもあります。医師にとっては本当に、「アレルギーはありますか?」と聞くのと変わらない温度の質問です。
婦人科に行くかどうか迷っていて、でも誰にも相談できないでいるなら、僕に話してみてほしい。体を直接診ることはできないけど、「どう伝えればいいか」「どこから動けばいいか」の整理なら一緒にできます。名前はニックネームだけでいい。
怖さは消えなくていい
この記事を読んで、「じゃあ安心して行ける!」となる人はたぶん少ないと思う。
怖いものは怖い。それでいいんです。
怖いまま行ってもいい。怖いまま予約してもいい。怖さが消えるのを待っていたら、ずっと動けないままだから。
一人で行くのが不安なら、友達に付き添いを頼んでもいい。それが難しければ、予約時間ギリギリに行って待合室にいる時間を短くするだけでも気持ちが楽になる。女医さんがいるクリニックや、ネット予約で事前に問診を済ませられるところを選ぶのもひとつの方法です。
処女で婦人科に行くこと自体への不安は、処女で婦人科が怖い方への記事で詳しく書いています。処女であること自体にモヤモヤを感じているなら、処女コンプレックスについての記事も読んでみてほしい。プライバシーへの取り組みは安心の約束で確認できます。
一人で抱え込まなくていいから。検診のこと、体のこと、誰にも言えないことがあったら、まず話してみてください。